• 医学連とは
  • 取組と実績
  • 運営と財政
  • 役員
  • 加盟校

新専門医制度の現状と論点

 

こんにちは!

今回は以前の会議で医学連として確認したことをご紹介します。


 新専門医制度への医学生の参画と意見の反映を訴えてゆくにあたり、まず開始間近の新専門医制度の現状を、615日に日本専門医機構が公表した「専門医制度新整備指針(第二版)」(以下、新整備指針)をもとに確認する。その上で、研修を受ける側の目線から「研修の質の担保」「ライフイベントとの両立」「地域枠医師のキャリアパス」「地域医療への影響」に焦点を当てて、医学連から新専門医制度に関する論点を紹介したい。


①研修の質は本当に担保されるのか?

 新整備指針によると、「地域医療を維持するために必要な施設において常勤の専門研修指導医を置くことが困難な場合、研修連携施設に準ずる施設を基幹施設の承認のもと研修プログラムに組み入れ、これらの施設での研修も各領域が定める気管、指導医が不在であっても研修として認めるように基幹施設の責任において配慮する。」としている。すなわち、指導医不在の連携施設における研修の質の担保は、その研修プログラムを承認する各学会と、それを実際に行う研修施設(基幹施設と連携施設)が責任を持っている。

 しかしながら、研修プログラム制に則った循環型の研修によって指導医不在の連携施設に派遣された専攻医にとって、「指導医から直接指導を受けられるのが週に1, 2回で、それ以外は基幹施設にいる指導医とコンタクトを取りながら勤務する」といった研修のあり方は、「自分の専門性が高められる研修が受けられている」と言えるのだろうか?


②ライフイベントとの両立について十分な配慮がなされているか?

 新整備指針によると、「特定の理由(海外への留学や勤務、妊娠・出産・育児、病気療養、介護、管理職、災害被災など)のために専門研修が困難な場合は、申請により、専門研修を中断することができる。6ヶ月までの中断であれば、残りの期間に必要な症例等を埋め合わせることで、研修期間の延長を要しない。また、6ヶ月以上の中断の後研修に復帰した場合でも、中断前の研修実績は、引き続き有効とされる。」としている。

 新専門医制度が、現在の初期研修医や医学生に広く受け入れられて活用されるかどうかは、研修とライフイベントの両立に関する不安を取り除けるかどうかが重要である。そしてこの点に関しては、研修カリキュラム制も視野に入れた柔軟な制度の運用がなされることが、新整備指針からも伺える。

 しかしながら、文書上では不都合がなく行えそうに見えるものでも、実際に研修を受けてみると事前に想定できなかった障害にぶつかることがあるものである。そのような場合に、専攻医は自分が感じた意見や要望をどこに申し立てれば良いのだろうか?(勤務している研修施設だろうか?研修プログラムを承認した学会だろうか?それとも専門医機構だろうか?)また、専門医機構にはそうした専攻医の声を各研修施設や各学会から集めて、制度の改善につなげてゆくための仕組みは確立しているのだろうか?


③地域枠医師・自治医大卒業医師は多様なキャリアパスを選択できるか?

 新整備指針によると、「地域枠入学や奨学金供与(給与・貸与)を受けている専攻医に関しては、機構は、地域枠や奨学金供与の義務の発生する各都道府県等及び各基本領域学会に対して、専門医制度を(研修プログラム制の下でも)適切に行えるように要請する。」としている。また、専門医取得を希望する義務年限を有する医科大学卒業生に関しては、「教育レベルが保持されることを条件に柔軟な研修カリキュラム制による専門研修を行う等、柔軟に対応を行う。」としている。

 しかしながら、現実的には自治医大卒業生をはじめとする「医師不足地域へ積極的に医師を派遣する地域枠」の医師にとっては、総合診療科・内科を除いた多くの基本領域での専門医取得が義務年限終了後に限られてしまうという懸念が依然として残っている。例えば、長崎県の地域枠制度は「義務年限のうち1/2以上の期間を離島で勤務すること」が貸与資金の返還免除を受ける上で必要となっている。そのため、離島の病院が研修プログラムの連携施設に組み込まれていない基本領域に関しては、義務年限内でスムーズに専門医を取得することは難しい状況である。現状では、地域枠医師・自治医大卒業医師のような義務年限を有する医師が、多様なキャリアパスを無理なく選択できるようにするための協議・調整がまだ不十分なのではないだろうか?


④都市部への医師偏在など、地域医療へ及ぼす影響は十分に考慮されているか?

 新整備指針の運用細則によると、「専攻医年度採用実績(過去5年間の平均)が350名以上の基本領域学会(現時点では、内科、小児科、精神科、外科、整形外科、産婦人科、麻酔科、救急科の8領域)については、教育レベルを保つ観点から、原則として都道府県ごとに複数の基幹施設を置く基準とする。」としている。そしてこれには、幅広い疾患の症例が豊富な地域の中核病院も基幹施設と認定できるようにすることで、大学病院の医局に人事権が集中することを避け、都市部への医師偏在を助長させないようにする目的も含まれている。

 例えば、日本内科学会に関しては、研修施設(基幹施設と連携施設の合計)は現行制度と比較して2.4倍に増加し、また研修施設の分布も現行の294医療圏から344医療圏に拡大するという(1。そのため、より広範な地域の病院が基幹病院・連携病院として機能する見込みであり、医師偏在を助長させないための配慮が一定の効果を上げると予想される。

 しかしながら、先述の8基本領域のうち内科を除く7領域では、「基幹施設が大学病院1か所のみ」という都道府県が残っており、例えば日本小児科学会では、47都道府県中21県が「基幹病院は大学病院1か所のみ」となっている。これまで新専門医制度に関しては、地域医療への影響を最小限に止めるために様々な議論がなされてきたが、実際に「複数基幹施設の設置」などの基準が満たされないまま制度が開始してしまうようでは、今までの議論も無意味なものになってしまうのではないだろうか?


1: https://www.m3.com/news/iryoishin/53726


  • 医ゼミ
  • 医師養成
  • 自治会活動
  • インタビュー
  • 医学連新聞
  • 新聞スクラッチ
  • 企画スケジュール
  • 医学生DATA
お問い合わせ医学連アンケート
facebook
  • pagetop