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藤崎和彦先生(岐阜大学医学部医学教育開発研究センター)インタビュー

「グローバルスタンダードの導入」

 

-最近の医学部カリキュラムの全国的な移行の流れはどのような背景のもとに起きているのでしょうか。

藤崎: ことの発端はECFMG(Educational Commission for Foreign Medical Graduates)2010年に出した通告でした。「2023年以降は医学教育の国際的な認証評価を受けた医学部の出身者以外は(アメリカ・カナダでの)医業の資格を認めない」というもの(いわゆる「2023年問題」)。

グローバル化が進む中で、医学・医療も国際認証に通用するような教育が求められています。そのニーズに対し、米国外の医学部が教育の国際基準を満たそうとする際に、用いる基準が世界医学教育連盟WFME策定の「グローバルスタンダード」なのです。

 

日本ではどのような動きがあるのでしょうか。

藤崎2013年2月に日本医学教育認証評議会JACMEが設立されました。これからはJACMEが「グローバルスタンダード」に基づいて、2023年までに希望する全医学部の認証評価をやっていく予定です。そして、JACMEがやっている認証を、ECFMGに「国際的な質の保証がされている」と認めてもらおうというわけです。

 

WFMEが直接認証をしてくれないのですか。

藤崎WFMEに認証評価をしてもらうとなると、言葉の壁を乗り越える必要があります。英語で認証評価を行うのはとても大変なのです。シラバスや教育関係の文章類は全て英語翻訳し、対応も英語行わなければなりません。そのため、JACMEを立てて、その評価をふさわしいものとして認めてもらおうとしています。

 

認証評価の具体的な流れを教えてください。

藤崎 まず6か月かけて、自己点検をします。基準に沿って、どこがダメで、どこがいいかを大学自らやります。その自己評価を認証機関におくって、それを機関がチェック。その上で外部評価者(これからはJACME)がきて現地調査。その結果をもとに2か月後くらいに報告書をだして認証の結果を伝えなおかつ結果をHPで公開していくことになります。改善命令とかでた場合には各大学で改善策や期限を定めて、これもHPなどで公開しなければなりません。

 

基準となるグローバルスタンダードとはどのようなものなのですか。

藤崎:グローバルスタンダードは医学教育を9つの項目に分けて基準を定め、各項目の中で【基本的水準】と【質的向上の水準】が定められています。基本的水準はmustで表され、最低限のラインを定めます。質的向上はshouldで表され、目指すべきことを定めます。

 

この基準に日本の医学部が合わせようと思ったとき、どこが問題になると考えられますか。

藤崎 4.4学生の教育への参画】において、基本的水準では、「カリキュラムの設計、運営、評価や、学生に関連するその他の事項への学生の教育への関与と適切な参画を保証するための方針を策定して履行しなければならない」(B4.4.1)とあります。  

また、質的向上のための水準では「学生の活動と学生組織を奨励するべきである」(Q 4.4.1)とあります。

これらに対し日本語版では独自に、「[学生の教育への参画]とは、例えばカリキュラム委員会や教育委員会と学生代表が話し合う機会などを意味する。」という注釈が加えられており、縛りが緩くなっているように感じます。国際的には、カリキュラム作成の際に、ただ話し合うのではなく、学生を正式なメンバーにするのが基本です。

 

この認証評価の導入によってカリキュラムの変更以外にも何か影響はありますか。

藤崎:「ECFMGなんか受けないのだから国際認証なんか関係ない」という声もあります。しかし、海外の医学校では教育評価は重要な指標であるので、海外の医学校と連携していく際にも、先方はそういう目(国際基準の教育が保証されているかどうか)でこちらを見るでしょう。

また、JACMEは認証結果をHPで公開する予定ですので、その結果次第では、国民から「あそこは質が低いんじゃないか」と見られ、教育レベルで格差化が進む可能性もあります。つまり、各大学にとっても、医学生にとっても、「関係ない」で済む問題ではないのです。

 

信州大学ではこの流れを受けて、臨床実習期間が50週ほどから72週に拡大されたのですが、そのため座学の講義が90分から60分に短縮されました。それに対して学生からは困惑や不満の声も上がっています。

藤崎:そもそも講義形式を90分で行うことも、世界的には非効率とされ、減少傾向にあります。

大きな講義室の講義では学習は起きていません。今の学生にとって、学習は試験前の勉強で起きるのです。しかし日本の教育は、学生も含め講義信仰が強いので、学生は教えられることを待っています。

臨床で学んだ方が効率的です。講義でおおまかなことが身についていれば、あとは実習の中で、目の前のリアルな患者さんを見ながら学んだ方が身につきます。それが国際的な教育です。

 

最後に何かありますか。

藤崎:この2023年問題により生まれた流れの中で、全国的なカリキュラムの改変が行われています。しかし、大切なのは実習の期間や回数をそろえることではありません。数字だけ変えても、肝心な教育の中身がともなってこなければ、意味がありません。いずれにしろ、特に臨床教育を中心に、ちゃんと改善をして国際水準にしないといけないという通告が、まさに日本の医学教育界に黒船が来たということです。

 

 

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